大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和24(オ)298 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人阿部義次の上告理由第一点について。

所論は原審において被上告人が所謂不在地主にあらざる理由として自作農創設特

別措置法第四条第二項、同施行令第一条第一号に掲げる特別の事情である疾病の場

合に該当するものと認めるのが相当であるから、被控訴人(被上告人)はa村の区

域内に住所を有するものとみなさるべきものであるとして之に反する上告人の主張

を排斥したのに対し原審の摘示した事実中被告人のD逓信局における就職関係等の

事実を引用して(上告理由第一点(一)乃至(四))被上告人はその意思と行動に

おいて病気療養のため一時的に郷里を離れたものと認むべきでなく従つて原判決は

経験則に反して証拠の解釈を誤つた違法があるというのである。しかし原判決の趣

旨によれば原審は固よりこれ等の事情をも勘案尚他の証拠とを綜合考覈した結果被

上告人が当時a村の区域内に住所を有しなかつたのは病気を療養するためであつて

仮令その間被上告人において官庁に勤務していた事実があつても、それは療養の傍

生活するためであつたと判断したものであることが認めらるるのであり、そして斯

様な事象は或はその例が多くないとしても全然ありえないことであると断ずること

は行過ぎであると云はねばならない。要するに所論は原審が各証拠に基きその自由

なる心証により被上告人の不在は疾病療養のためであり自作農創設特別措置法施行

令第一条第一号に掲げる特別事情に該当するものであると判断した事実認定の当否

を非難することに帰し上告適法の理由とならない。

同第二点について。

所論は原判決理由において被上告人が在村しなかつたことは病気療養の傍生活す

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るためで目的はあくまで将来健康回復の上祖先伝来の住所であるa村の自宅に帰来

し農業に従事するため病気の療養をするにあつたと判示したのに対し在村地主であ

るか、不在村地主であるかの判定基準は客観的事実に基くべきもので主観的な目的

に基くべきでないと主張するのであるが原判示の趣旨は、すでに前点において説示

したごとく、被上告人の不在は、「疾病」という前示施行令一条一号所定の特別事

由にもとずくものであるとするのであり、しかも原判決はその挙示の証拠によつて、

諸般の客観的事情をも認定の上、右のごとき判断をしたものであつて、所論のよう

に、ただ被上告人の主観のみによつて、かかる判断をしたものでないことは、原判

決の理由に徴して明かなところであるから諭旨は採用できない。

以上説明のとおり本件上告は理由がないからこれを棄却することとし民訴四〇一

条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見をもつて主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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